溶解度
このページは、中学1年の理科で学習する溶解度に関する計算のプリントを収録しています。類題を含む多数のプリントの中から、必要な内容のプリントを簡単に表示し、必要なだけダウンロードすることができます。計算力向上のためにご利用ください。
はじめに
水溶液について学んだ後に、この「溶解度」を学習することになっています。水にどれだけ溶かすことができるのかを表す量で、温度が高くなればたくさん溶かすことができるのは経験的に理解できるかと思います。しかし、温度を上げたり下げたり、溶け残りをのぞいたりなどという問題になると、とたんにややこしくなって訳が分からなくなってしまう。。。という生徒さんが多いのではないでしょうか。
どのような理科の問題もそうですが、最初は複雑そうに見えます。しかし、やっていることは毎回同じなので、やり方を覚えて慣れてしまえば、それほど難しくはないですよ。がんばって、問題を解いて慣れましょう。
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問題の解き方とプリント
溶解度とは、100gの水に溶かすことができる物質の質量の限界値を表しています。この値は、物質によって異なるのはもちろんのこと、温度によっても変化します。一般に、水の温度が高ければ、溶解度は大きくなります(たくさん溶けるということです)。
プリントの種類と解き方
溶解度を使った計算をする問題では、以下のような溶解度を示す表が与えられます。これをもとに、様々な質量を計算します。溶液の質量・溶媒の質量・溶質の質量はお互いに比例関係にあるので、比例式を使って解くとよいでしょう。
表 硫酸銅の溶解度(100gの水に溶かすことができる最大の質量)
温度(℃) | 0 | 20 | 40 | 60 | 80 |
硫酸銅の質量(g) | 23.1 | 32.0 | 44.6 | 61.8 | 83.8 |
以下の例題は、上の表の値をもとに答えてください。答えは、小数第2位を四捨五入して小数第1位の概数で表してください。
- 例題1
- 80℃の水25gに硫酸銅は何gまで溶かすことができるか。
- 解き方
-
表より、80℃の水100gに溶かすことができる硫酸銅の質量は23.1g
溶媒となる水の質量と、溶質の質量は比例するので、水25gに溶かすことができる硫酸銅の質量を\(x\)gとすると、
\( 100 : 83.8 = 25 : x \)
が成り立ちます。
\( x = 83.8 \times \frac{25}{100} = 20.95 \)(g)
小数第1位までの概数にすると 21.0 g
- 例題2
- 80℃の水25gに硫酸銅を27.25g溶かしたときに溶け残るのは何gか。
- 解き方
-
例題1より、溶け残る質量は
\( 27.25 - 20.95 = 6.3 \)(g)
小数第1位までで表すと 6.3 g
- 例題3
- 例題2から溶け残った硫酸銅を取り除いて0℃まで冷やしたら、硫酸銅の結晶が出てきた。この結晶は何gか。
- 解き方
-
表より、0℃の水100gに溶かすことができる硫酸銅の質量は23.1g
溶媒となる水の質量と、溶質の質量は比例するので、水25gに溶かすことができる硫酸銅の質量を\(y\)gとすると、
\( 100 : 23.1 = 25 : y \)
\( y = 23.1 \times \frac{25}{100} = 5.775 \)(g)
この溶液は80℃での飽和水溶液だから、例題1よりこの溶液中には20.95gの硫酸銅が含まれている。よって、0℃にしたことによって溶け残った硫酸銅の質量は
\( 20.95 - 5.775 = 15.175 \)(g)
小数第1位までの概数にすると 15.2 g
- 例題4
- 例題3から溶け残った硫酸銅を取り除き、残った溶液の10gを加熱することで水を完全に蒸発させた。得られた固体の硫酸銅は何gか。
- 解き方
-
表より0℃の硫酸銅の飽和水溶液は、100gの水と23.1gの硫酸銅からなる。この水溶液の質量は
\( 100+23.1=123.1 \)(g)
なので、123.1gの溶液中に23.1gの硫酸銅が溶けていることになります。
溶液の質量と溶けている溶質の質量は比例するので、10gの飽和水溶液中に含まれる硫酸銅の質量を\(z\)gとすると、
\( 123.1 : 23.1 = 10 : z \)
が成り立ちます。
\( z = \frac{23.1 \times 10}{123.1} = 1.876... \)(g)
水を蒸発させれば、これだけの硫酸銅が得られます。
小数第1位までの概数にすると 1.9 g
多くの物質の場合、溶解度は温度によって変化します。その様子はグラフを使って表されます。以下のグラフは、硫酸銅(実線)と塩化ナトリウム(点線)の溶解度の温度変化の様子を表しています。
このように与えられたグラフから問題を解く場合、およその値をグラフから読み取らなければなりません。ただし、このグラフは100gの水に溶かすことができる物質の質量で表されていることに注意が必要です。
以下の例題は、上のグラフをもとに答えてください。
- 例題5
-
硫酸銅を40℃の⽔200gに溶けるだけ溶かし、溶け残りを除いたのちに0℃まで冷やした。このときに、溶け残った量として適切なものは次のア〜エのどれか。
ア. 10g
イ. 18g
ウ. 23g
エ. 43g - 解き方
-
まずは、100gの水の場合で考えます。
グラフ中の①は40℃の水100gに溶かすことができる硫酸銅の質量、②は0℃の水100gに溶かすことができる硫酸銅の質量を表します。およその値は、それぞれ①45g、②23gと読めます。
つまり、40℃の水100gに硫酸銅を溶かせるだけ溶かすとおよそ42gとかすことができ、それを0℃まで冷やすと23gしか溶けないことになります。両者の差である③
\( 45 - 23 = 22 \)(g)
は、0℃の中では溶け残ることになります。
問題は、200gの水を使っているので、200gの水の場合に溶け残る量を\(x\)gとすると
\( 100 : 22 = 200 : x \)
\( x = \frac{22 \times 200}{100} = 44 \)(g)
と見積もることができます。この見積もりに一番近いものが答えとなりますので
エ 43g
- 例題6
-
硫酸銅と塩化ナトリウム56gを、それぞれ0℃の200gの⽔に溶かすとどうなるか。ア〜エから適切なものを選べ。ただし、溶質を溶かしたときに溶液の温度は変わらないとする。
ア. 硫酸銅と塩化ナトリウムの両⽅ともすべて溶ける。
イ. 硫酸銅はすべて溶けるが、塩化ナトリウムは溶け残る。
ウ. 塩化ナトリウムはすべて溶けるが、硫酸銅は溶け残る。
エ. 硫酸銅と塩化ナトリウムの両⽅とも溶け残る。 - 解き方
-
100gの水に溶かした場合に直して考えます
0℃の100gの水に\(x\)g溶かしたとすると
\( 200 : 56 = 100 : x \)
\( x = \frac{56 \times 100}{200} =28 \)(g)
0℃の水100gに硫酸銅と塩化ナトリウムを28g溶かした場合
0℃において、28gは硫酸銅では溶解度曲線(実線)の上にあるので、溶け残ります。一方で、塩化ナトリウムでは28gは溶解度曲線(点線)の下にあるので、全て溶けることになります。よって、
ウ. 塩化ナトリウムはすべて溶けるが、硫酸銅は溶け残る。
- 例題7
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200gの⽔に、硫酸銅と塩化ナトリウムをそれぞれ同じ質量だけを溶かしたら、溶け残りがなく飽和⽔溶液ができた。このときの温度として適切なものをア〜エから選べ。
ア. 13℃
イ. 19℃
ウ. 26℃
エ. 39℃ - 解き方
-
溶解度は溶液や溶媒の質量によって変化しません。よって、硫酸銅と塩化ナトリウムが同じ温度で同じ溶解度になるような場所を探せばよいことになります。
上の図から、そのようなときの温度は
ウ. 26℃
- 例題8
-
例題7で、硫酸銅と塩化ナトリウムはそれぞれ何g溶かしたと考えられるか。ア〜エから適切なものを選べ。
ア. 36g
イ. 72g
ウ. 90g
エ. 108g - 解き方
-
例題7より、硫酸銅と塩化ナトリウムが同じ温度で同じ溶解度になるような温度は26℃で、そのときに100gの水に溶かすことができるのは、下図より
およそ36gと見積もることができます。
水は200gあるので、200gの水に溶かすことができる溶質の量を\(x\)gとすると
\( 100 : 36 = 200 : x \)
\( x = \frac{36 \times 200}{100} = 72 \)(g)
と見積もることができます。この見積もりに一番近いものが答えとなりますので
イ. 72g
プリント
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