電気の計算
このページは、中学2年理科で学習するオームの法則などの電気関係の計算プリントを収録しています。類題を含む多数のプリントの中から、必要な内容のプリントを簡単に表示し、必要なだけダウンロードすることができます。計算力向上のためにご利用ください。
はじめに
この単元は、計算が多くて苦手意識を持っている人が多い一方、計算のコツをつかんでしまえば得意にできるところでもあります。コツをつかんでもらうには繰り返しが最も効果的ですが、少数の問題でくり返していると答えを覚えてしまって、問題演習の意味がなくなってしまします。
そこで、数学の計算プリントと同様に、Googleのスプレッドシートを利用して計算問題プリントを作成してみました。
図を使った問題などちょっと面倒でしたが、いまのところ利用できるレベルにはなったと思っています。各プリントで答えは表示していますが、計算の式や途中経過は示していないです。必要に応じて、このページの内容を参照してください。
これらのプリントの利用により何らかの不利益が生じた場合でも、当方は責任をとりません。利用規約にご同意の上、ご自由にご利用下さい。誤字・脱字や、間違いを発見された場合は、管理者(dsktcy.kkzn.junj@gmail.com)までご連絡いただけるとありがたいです。
問題の解き方とプリント
この単元では、いろいろな物理量や単位が出てきます。以下にまとめてみました。
物理量 | 単位 | 意味 |
---|---|---|
電圧 | V | 電気回路に電気を流そうとするはたらき |
電流 | A、mA | 電気回路に流れている電気の量 |
抵抗 | Ω | 電気の流れにくさをあらわす量 |
電力 | W、kW | 単位時間に消費される電気エネルギーの量 |
電力量 | Wh、kWh | ある時間内に消費した電気エネルギーの量 |
熱量 | J | ある時間内に発生した熱エネルギーの量 |
なお、「電力量」と「熱量」は本質的には同じ物理量で、電気を使う側から見た「電気を使ったエネルギーの量」が電力量で、その結果として「周囲に与えた熱エネルギーの量」が熱量です。
ただし、電熱線で水などを温める場合、発生する電気エネルギーの量(電力量)と、温められた水が受け取った熱エネルギーの量(熱量)は必ずしも等しくはありません。すなわち、発生した電気エネルギーがすべて水の温度上昇に使われるわけではない(コップなどの水以外の周囲の物質も温めている)からです。(この問題については、発展的な内容をふくむためにこのページでは扱っていません。)
プリントの種類と解き方
2つの抵抗からなる直列回路では、各抵抗を流れる電流(\(I_A\)と\(I_B\))が回路全体の電流(\(I\))と等しく、各抵抗にかかる電圧(\(V_A\)と\(V_B\))の和が電源の電圧(\(V\))になります。
\( I = I_A = I_B \)、\( V = V_A + V_B \)
2つの抵抗からなる並列回路では、各抵抗にかかる電圧(\(V_A\)と\(V_B\))が電源の電圧(\(V\))と等しく、各抵抗を流れる電流(\(I_A\)と\(I_B\))の和が回路全体の電流(\(I\))になります。
\( I = I_A + I_B \)、\( V = V_A = V_B \)
- 例題1
-
以下の電気回路で、\(x\)の値を答えよ。
- 解き方
-
直列回路の場合、流れる電流はどこも同じです。
よって、𝒳 =0.5 (A)
- 例題2
-
以下の電気回路で、\(x\)の値を答えよ。
- 解き方
-
直列回路の場合、電源の電圧は各抵抗にかかる電圧の和になります。
よって、\(x=20+20=40\)
𝒳 =40 (V)
どのマイナスの端子に接続しているかに応じて、電流・電圧の値の読み方が異なります。また、値は目盛の10分の1まで読みます。
- 例題3
-
以下の電流計の値を読み取れ。
- 解き方
-
目盛の最大(赤い太矢印)は50mA、最小の目盛が1mAなので、10分の1の位の0.1mAまで値を読みます。
よって、この場合は45.0mA
- 例題4
-
下の電圧計の値を読み取れ。
- 解き方
-
目盛の最大(赤い太矢印)は15V、最小の目盛が0.5Vなので、10分の1の位の0.01Vまで値を読みます。
よって、この場合は11.50V
ある抵抗器にかかる電圧は、電流に比例します(オームの法則)。
(電圧)=(抵抗)×(電流)
または
(電流)=(電圧)÷(抵抗)
(抵抗)=(電圧)÷(電流)
計算は、それぞれを以下の単位にして行います。
電圧:V(ボルト)
電流:A(アンペア)
抵抗:Ω(オーム)
- 例題5
-
以下の電気回路で、\(x\)の値を答えよ。
- 解き方
-
(電流)=(電圧)÷(抵抗)より
\( x = 12 \div 10 = 1.2 \)
𝒳 =1.2 (A)
2つの抵抗器からなる直列回路では、各抵抗器を流れる電流が回路全体の電流と等しく、各抵抗器にかかる電圧の和が電源の電圧になります。さらにオームの法則も利用して、求めたい値を計算します。
- 例題6
-
以下の電気回路で、\(x\)の値を答えよ。
- 解き方
-
①200mAを0.2Aに変換する
②直列の場合は流れる電流が同じため、1Ωの抵抗に流れる電流も0.2A
③オームの法則より、1Ωの抵抗にかかる電圧が0.2V
④直列の場合は電源の電圧が各抵抗にかかる電圧の和になるので、
𝒳 =0.6 (V)
2つの抵抗器からなる並列回路では、各抵抗器にかかる電圧が電源の電圧と等しく、各抵抗器を流れる電流の和が回路全体の電流になります。さらにオームの法則も利用して、求めたい値を計算します。
- 例題7
-
以下の電気回路で、\(x\)の値を答えよ。
- 解き方
-
①並列の場合は各抵抗にかかる電圧が電源の電圧と同じなので、10Ωの抵抗にかかる電圧は20V
②オームの法則より、10Ωの抵抗を流れる電流は2A
③並列の場合は、各抵抗に流れる電流の和が電源に流れる電流になるので、
𝒳 =5 (A)
上の3つの問題(抵抗が一つ・直接回路・並列回路)を1枚の中に混合したプリントを表示するためには以下の「プリント表示」ボタンを押してください。
電力とは、「一定の時間(単位時間ともいう)」に消費される電気エネルギーの量のことです。これは、
(電力)=(電圧)×(電流)
で計算されます。電圧の単位が「V」、電流の単位が「A」のとき、電力の単位は「W(ワット)」です。
(なお、Wで電力を表す場合、「一定の時間」とは1秒のことです。)
- 例題8
- 30Vの電圧をかけたときに0.5Aの電流が流れた。このときの消費電力は何Wか。
- 解き方
-
\( 30 \times 0.5 = 15 \)
15 W
- 例題9
- 50Ωの電熱線に100Vの電圧をかけた。このときの消費電力は何Wか。
- 解き方
-
オームの法則から、流れる電流は
\( 100 \div 50 = 2 \)(A)
よって、消費する電力は
\( 100 \times 2 = 200 \)
200 W
電力量とは、ある時間に消費した電気エネルギーの量です。電力量は
(電力量)=(電力)×(時間)
で計算されます。電力の単位が「W」、時間の単位が「時間」のとき、電力量は「Wh(ワット時)」となります。電力の単位が「kW」(1kW=1000W)のときは、「kWh(キロワット時)」です。
また、電力の単位が「W」、時間の単位が「秒」になると、電力量は「J(ジュール)」になります。電流を流したものが電熱線だった場合、電熱線が発熱する量は電力量に比例します。そこで、電力量は熱量(発熱するためのエネルギー量)とも呼びます。
- 例題10
- 800Wと表示された電気器具を100Vの電源につないで1時間30分使ったときの電力量は何kWhか。
- 解き方
-
800W=0.8kW、1時間30分=1.5時間だから、
\( 0.8 \times 1.5 = 1.2 \)
1.2 kWh
- 例題11
- 5V-4Wと表示された電熱線を用いて1440Jの熱量を発生させるためには、10Vの電圧を何秒かければよいか。
- 解き方
-
「5V-4Wと表示された電熱線」とは、「5Vの電圧をかけたら4Wになる電熱線」という意味です。電圧が10Vになると電力も変化してしまうため、電流・電圧によって変化しない電熱線固有の量である抵抗を求める必要があります。
この電熱線に5Vの電圧をかけたときに流れる電流は
\( 4 \div 5 = 0.8 \)(A)
この電熱線の抵抗は
\( 5 \div 0.8 = 6.25 \)(Ω)
この電熱線に10Vの電圧をかけたときに流れる電流は
\( 10 \div 6.25 = 1.6 \)(A)
よって、10Vの電圧をかけたときの電力は
\( 10 \times 1.6 = 16 \)(W)
この電力で1440Jの熱量を発生させるためには
\( 1440 \div 16 = 90 \)
90秒
プリント
問題の種類を選択して「更新」ボタンを押すと、pdfプリントへのリンクが更新されます。再度「更新」ボタンを押すと、問題が変わります。プリントを表示したい場合は、「pdfプリントの表示」をチェックして下さい。