何がわからなくて困っているかご存知ですか?
独立するにあたり、自分のスタンスを表現するために、
「何がわからなくて困っているかご存知ですか?」
というキャッチフレーズを考えてみました。
そもそも勉強は、学校で先生が教えるものです。学校の授業だけで十分ならば、塾は必要ないはずです。それにもかかわらず、多くの子供さんが学習塾に通っています。ということは、学校の授業だけでは十分に理解できていないと感じている人が大勢いるはずです。さらに、塾に通っている子供さんたちに「何がわからないの?」という質問をすると、そのほとんどがこの問いに明確に答えられないのです。「わからないところがわかる」人は、自分で答えを探すことができます。一方、「何がわからないかわからない」人は、何をしたらいいかわからないのです。
また、私のこの問いかけは、保護者のかたにも向けています。ご自身の子供さんたちに「できないのだったら、わからないことをきちんと先生に聞きなさい!」と言っていませんか?成績が上がらなくて一番困っているのは、実は子供さんたちです。勉強なんてできなくても構わない、と心底考えている子供さんはほとんどいません。「何がわからないから何を聞いたらよいかわからない」にもかかわらず、「ちゃんと聞かないから成績が上がらない」と決めつけていませんか?
「わからない」は人によって様々です。経験上、勉強に関する「わからない」は4つに分類できると私は考えています。
- どこから理解できなくなったのかが「わからない」
- わかったという実感が得られないから「わからない」
- 何を書いてあるのかが「わからない」
- 面倒なことをやりたくないから「わからない」
学校のような大人数の集団授業で一度わからなくなると、その後の内容を理解するのはかなり厳しいです。この場合、「わかる」地点まで遡り、そこから「わからない」を解決すればよいことになります。逆に言えば、この場所が特定できれば自分で先生に聞きに行くことができます。すなわち、「わからないことをきちんと先生に聞きなさい」という声掛けは、この「わからない」にしかあてはまりません。
授業で説明を聞いて納得はできるのにもかかわらず、いざ問題を解こうとするとできないことがあります。問題を解くには、背景にある知識だけでは不十分で、解くための技術が必要です。例えば、割り算の意味は理解できていたとしても、筆算の手順に慣れていなければ正解にたどり着くことはできません。この場合は、解き方を何度も繰り返し練習する必要があります。
「わからない」と言っているお子さんに、問題文を音読してあげるだけで「わかった」となることがあります。つまり、漢字が読めなかったり、文章だけから他者の意図を捉える能力が不足しているのです。この場合、言葉の表現を変えたり、視覚的に表現するなどして説明する必要があります。また、根本的な解決策として、それぞれのレベルに応じた漢字の読みや文章読解の訓練が不可欠です。
学年が進んでくると、一発で答えのでない問題が多くなります。そのような問題は段階を経て答えにたどり着かなければならないのですが、それを面倒と感じると「わからない」と言ってやらなくなることをしばしば見かけます。特に、算数・数学で暗算をするお子さんは、この傾向が顕著です。この場合は、段階を踏ませるように根気強く指導しなければなりません。
これに関しては、別のコラムで詳しく書いてあります。
これらの「わからない」を見極め、適切な指導を実践するためには、個別の指導が必須です。成績が振るわなかったために、「今度こそ頑張る」という悲痛の言葉が何度も繰り返されてきたのではないでしょうか。この悪循環を断ち切って「今回はよく頑張ったね」という称賛の言葉に変えていきたいという思いを胸に、私は指導にあたります。
あなた(のお子さん)は、どの「わからない」でしょうか?